短歌の世界では空前のベストセラーとなった『サラダ記念日』は、今年で25周年を迎えます。作者の俵万智さんは当時、神奈川県立橋本高校の国語教師を務め、教師生活を送った4年間は町田市に住んでいました。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
俵さんは、小さなきっかけで揺れる心を、時には自身のなかに秘めてしまいがちな感情を、ありのままに、豊かに表現してきました。日常で誰もが抱くささやかな気持ちを親しみやすい言葉で綴った短歌は、多くの読者からの共感を得ています。
近年は子どもと過ごす時間を大切にし、日々めまぐるしく変化する子どもの表情、それに伴う自身の新たな心境を短歌に刻んでいます。歌集『プーさんの鼻』や『かーかん、はあい』、『たんぽぽの日々』など、現在も子育てに関する著書を執筆しています。
本展では、これまでの歌集のなかから、子どもや家族、恋人など身近な人との日々の出会いから紡ぎだされた短歌を、写真やイラストとともに視覚的にご紹介します。三十一文字により繰り広げられるひとつひとつの物語から、人を想って揺れる心、愛しき人への素直な想いを感じていただければと思います。